経営・財務

企業が長期的な事業戦略を考える際に考慮するべき環境変化とその対策

こんにちは。

今回は、安定的に事業を維持、成長させていくために大事なことは何か?というご質問にお答えします。

結論から言うと、答えは下記になります。

なるべく細かく現実に即した事業計画を策定し、リスクを予測し備えること

これだけだとよくわからない部分もあると思うので、以下で詳しくご説明します。

事業の安定に資する「事業計画」と事業を左右する2つの要因

これを読んでいる経営者や、これから事業を始めようと考えている皆さんは、事業が少しでも長く続いてくれればいいな、と思っていますよね。少なくとも、私はそう思っています。

事業を長く続けるために最も必要なことの一つは、「事業が長く続いているイメージ」を持つことです。人間、想像すらできないことは実現できません。

事業が長く続くイメージは頭の中だけで考えてもいいのですが、何も見ず、何も書かずにすごく先の将来を考えると、どうしても解像度が上がらなかったりイメージが曖昧になったりします。

これを避け、しっかりしたイメージを持つために活躍するのが「事業計画」です。緻密に作った事業計画は、中長期の事業戦略を計画し、実行する上での心強い支えとなってくれます。

事業計画に影響を与える2つの要因

ただし、どれだけ事業計画を緻密に作ったとしても、計画というのは作った瞬間からズレ始めるものです。この計画と現実をズレさせる要因は、大きく分けて「内的要因」と「外的要因」に分かれます。

「内的要因」とは、主に自社の状況が原因で起きる問題です。具体的には、営業不振や顧客のケア不足による売上減少、従業員の勤怠管理不足による販管費の肥大化、ITシステムの不調や従業員の疾病・退職などを指します。これらは経営努力等によって解決できます。

「外的要因」とは、市場環境の変化による売上減少や取引先の不幸な倒産による売掛金の回収不能、政府方針や条例による追い風・逆風等を指します。これらは通常、経営努力によって問題の根幹を解決することはできません。できることは、こうした外部環境に対し自社としてどのように振舞うかといった、対処療法的な施策のみです。

そして、この外的要因は往々にして、我々事業者の中長期の事業戦略に修正不可能な影響を与え、戦略そのものを見直さざるを得ない状況を作り出します。うまく対処できないと、事業は倒産してしまうこともあります。

この外的要因については、現在進行形で世界中で起きている問題があります。新型コロナウイルスの蔓延、「Covid-19」です。

10年ごとに発生する世界的経済危機

「Covid-19」による環境変化

新型コロナウィルスは中国武漢市にて大流行した後に世界中に飛び火、日本国内では2020年1月16日に第一号の感染者が確認されました。以降、日本国内でも爆発的に感染者数を伸ばし、4月7日には一部都道府県において緊急事態宣言発令、同4月16日には全国にそれが拡大する事態となりました。

最大時は新規感染者数:720人/日を記録し日本中を戦慄させたCovid-19も、政府当局の対応や自粛の徹底が奏功して5月27日には35人/日まで低下、5月25日には緊急事態宣言も完全に解除され、経済が再開するとの期待が高まっています。

しかしこの数か月間で、多くの企業には深刻なダメージが蓄積し、経済環境が変化、試練の時を迎えています。

航空運輸や観光業は、入国制限や渡航制限により大規模な打撃を受けました。

航空業界最大手のANAホールディングスの当期純利益は70%減少、宿泊業は2-4月の3ヶ月で判明しているだけで36社が倒産しています ( 2月:5件、3月:6件、4月:25社)。

飲食業界は営業自粛の要請を受け休業。実際に、大阪では要請後1週間で昨年同期比7割も売上が減少、以降も売上ゼロの日が続きました。

今後のことはわかりませんが、これらの業界の回復にはしばしの時間が必要と思われます。

中項目:過去の事例から振り返る環境の変化とその対策

今回のCovid-19と同様の経済的危機は、大きいものは10年周期で、過去に何度も起きています。以下のグラフは年ごとの企業の倒産件数の推移です。

企業倒産年次推移

(東京商工リサーチ・https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2019_2nd.html

何度か前年対比、企業倒産数が急増している年があります。1998年、2000年、2008年などです。これらの年の前後には、世界的に影響のある事件が起きています。

1997年のアジア通貨危機や日本の金融業者の倒産、2008年のリーマンショックなどです。

ここで気を付けて見てほしいのは、環境の変化による影響が甚大だったとしても、必ずしも環境企業の倒産数が激増している訳ではないということです。

経済環境が悪化すると、補助金・支援金などの政府支援や金融緩和、民間での互助支援など普段は休眠している機能も多く働くようになります。これらのセーフティネットにより、企業の倒産件数は一定程度以下に保たれるのです。

実際、Covid-19影響下において、幾つもの助成金や支援金が出されています。

しかしそうは言っても、経済環境の悪化が企業に深刻なダメージを与え、時に倒産件数を増やすことは事実です。こうした負の外的要因は企業の売上や資金繰りを変化させ、確実に企業の事業計画に悪影響を与えます。

ではここで、上述の1997年、2008年に起きた事件をとり上げて簡単にご説明します。

2008年の事件:「リーマンショック」

2008年9月15日リーマンブラザーズホールディングスの倒産に端を発し、住宅ローンをはじめとする世界中の金融商品の信用が毀損しました。原因は過大に取りすぎたリスクを、各金融機関や政府が支えられなくなったことにありました。

これにより世界中で金融機能のマヒがおき、貸出能力は激減。市場に十分な価値の流通をもたらしていた金融機関がその役割を果たすことができず、不動産価格、株価、あらゆるリスク選好型の経済指標が下がりました。

米国では、信用毀損が起きたことで膨れ上がった株価の維持が難しくなり株式市場は低迷。消費者は困窮し、日常的な消費も減ったことで全国的な景気停滞が起きました。この停滞は輸出入にも影響を与え、アメリカ依存の強かった日本の輸出産業は大打撃を受けます。

日本の製造業の倒産企業件数はこの年、資金繰りに余裕の少なかった中小企業を中心に前年度比22.2%増の1,848件を数えました。

また景気後退により「赤字累積」「販売不振」「売掛金等回収難」を合わせた不況型倒産の件数は、前年度比20.1%も増加しました。

1997年の事件:日本の金融破綻とアジア通貨危機

この年は上記のリーマンショックと違い、経済環境の悪化は複数の事件が絡み合った結果として起きました。

日本では金融金融機関の破綻が相次ぎました。一番有名なものとして、大手証券会社・山一証券の自主廃業が挙げられます。バブル崩壊により大量の不良債権を負った金融機関でしたがその負債を公にしようとせず、あの手この手で誤魔化していたのがいよいよ対処不能となり爆発した事件でした。しかも、それまで不良債権の隠ぺいに費やした莫大なコスト、隠ぺいに次ぐ隠ぺいで日本のほとんど全ての金融機関をまたぐほどに膨れたがった莫大な債務の解消は容易でなく、結果とし各銀行は次々と債務超過状態を宣言し、公的資金の支援に頼る事態となりました。

これは本当に異常事態で、野村證券や第一勧銀銀行には不法行為が常態化していたとして強制捜査が入り、当時の第一勧銀頭取が自殺する事態にもなりました。

他にも、消費税が3%から5%に上がったのもこの年でした。

一方、アジアではアジア通貨危機が起きます。タイ初のこの事件は、アメリカのファンドによる通貨の空売りを契機に、当時信用力の低かったアジア中の通貨の価値が毀損し、経済の維持が困難になりるというものでした。この状況は、日本ではちょうどその折に上記の金融不安が起きていたこと、元々日本の円はアジアのその他の国とは切り離されて考えられていたことなどから、日本市場に直接的な強い影響を与えることはありませんでした。然し、当時アジア展開が進み、融資や外為業務を行っていた金融機関は強烈な打撃を受け、株価を下げる一要因となりました。

これら一連の出来事は金融機関に強い影響を与え、金融機関はリスクを恐れるようになりました。融資条件が引き上げられたことで貸し渋りが発生、企業はそれまで資金繰りを支えてくれていた融資が下りず混乱しました。

銀行としても、バブル崩壊以降低下しつつもプラスを維持し続けた民間金融機関の貸出成長率はここにきて前年比マイナス、以降も何度かマイナス成長を見かけるようになりました。

我々事業者にできるのは自己分析し、備えることだけ

見てきたように、世界的規模で定期的に発生する環境変化や経済悪化イベントは、イチ事業者が太刀打ちできるレベルをはるかに超えています。

こうしたことを踏まえ、我々がやるべきは景気の大きな流れに逆らうことではなく、大きな波が来ても「死なないように」自分達にできる範囲のことを精一杯やることではないでしょうか。

そのためには、非常に多くの検討が必要です:

・自社の事業は何か、強み弱みが何かの正確な分析と理解が必要

・外的要因に晒されたとき、自社にどう影響するのかの解像度高い理解が必要

・理解をすぐに打ち手/指示に変えることができる体制づくりが必要

・必要な打ち手に必要な資金を確保し、経営を継続するだけの金融知識が必要

これらの要素は「事業計画」を策定する中で具体的に考え、事業に落とし込んでいくことができます。

「事業計画」は、中長期的に実現したい事業のあるべき形を想起するサポート材料であるとともに、突然襲い来るリスクに対応するためのガイドラインです。

日常的に発生する細々とした内的要因によるリスクを想定し潰し込み、安定的で確実な利益体制を構築することができます。

外的要因からもたらされる予測不可能なリスクに晒された時には、自社の持つ資産から冷静に対処方法を洗い出し、実行する体制を構築することができます。

最後に

事業計画の作成や資金調達(Equity調達、融資)にお困りの際は、お気軽にFyneat株式会社へご相談ください。我々は、事業計画の策定や資金調達のご支援に強みを持つ財務系コンサルティングファームです。

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