企業が銀行からお金を借りるためにはたくさんの書類の提出が必要です。
これらの書類を用意する際、どういったことに気をつければいいのでしょうか?
結論として、融資を受ける為には求められた書類を迅速に用意する事が大切です。
用意するべき書類を事前に把握して滞りなく準備出来るようにしましょう。
以下では銀行融資の申込に必要な書類とその準備、そして融資を通すための書類のポイントを詳しく紹介していきます。
事業計画書
事業計画書はスタートアップ企業や決算書の状況があまり良くない企業にとってとても重要なものです。
基本的に、銀行は過去の実績を見て融資の可否を判断します。
ですが、スタートアップなどは過去の実績がないので、代わりに事業計画書を参考に、その事業の成否、ひいては無事にお金が返ってくるかを判断することになります。事業計画書の中には具体的な収支計画などいくつかの内容が含まれており、それぞれの資料に説得力を持たせることで融資を通しやすくなります。
財務諸表
損益計算書(P/L)
損益計算書は、企業の営業活動の収支を記録した書類です。
売上や利益などが書いてあります。
銀行からは、3年分の損益計算書の提出を求められます。
一般的に、当期純利益、もしくは経常利益が黒字であれば融資が通りやすいです。
但し、これらが赤字でも、直近3年程度の売上の推移から事業展望が良い方向に向かっていれば融資を受けられる可能性はあります。
貸借対照表(B/S)
賃借対照表は、企業の持つ資産と負債の状況を記録した書類です。
現金や固定資産、借入金、資本金などが書いてあります。
銀行からは、3年分の損益計算書の提出を求められます。
資産が負債よりも大きい状況が一般的であり、資産に比べ負債の額が多い状態は債務超過と呼ばれます。この状態になると、銀行が融資してくれる可能性は低くなります。
また借入が多く、資本金が少ない状態の(=自己資本率が低い)企業は倒産の危険性が高いと考えられ、融資が通りにくくなります。
他にも、流動資本比率や当座比率などはよく確認される指標です。
これらは、もし返済が滞りそうな場合、企業がどれくらい「現金に換えやすい資産」を持っているかを表します。
試算表
前回の決算期末から時間が経っているとき、会社の最新の財務状況を確認するために、財務諸表に加えて試算表の提出を求められることがあります。
試算表は、月次などで事業の状況を確認するために作成されるもので、公式の資料としての価値はありません。
B/SとP/Lの両方が作成されることが一般的です。
銀行は試算表を見て会社の直近の営業状況を把握しますが、同時に試算表をきちんと作れる会社=財務管理が適切に行われている会社という側面でもチェックしています。
資金繰り表
資金繰り表は、企業の現金の動きを記録したものです。
一般には月次資金繰り表の提出が求められますが、過去3ヶ月分に加え、融資を受けることで改善する将来予測の3~6ヶ月分を用意することになります。
多くの企業がこの資金繰り表を作成せず、銀行に提出を求められて慌てて作成しています。こうした急ごしらえの資金繰り表は他の資料等とつじつまが合わないものとなることも多いので、普段から作成するように心がけてください。
資金繰り表では、他の財務諸表との整合性を見られるほか、運転資金貸出の場合にはどの段階でキャッシュの状況が厳しくなるかという予測を銀行に伝える効果があります。
借入状況一覧表
銀行は、企業がどこにどれだけ借入があるかを確認するために、借入状況一覧表の提出を求めます。
財務諸表に問題が無ければ借入状況を理由に融資を断られることは少ないので、求められたら提出はしっかりとするようにしてください。
法務局関連書類
銀行に提出する公式の書類は、法務局で取得することができます。
手数料がかかるほか、申込から入手までに時間がかかるものもある場合がありますので、しっかり準備して臨んでください。
法務局を訪問し入手するほか、郵送による申請やオンライン申請などの方法もありますが、訪問に比べて時間がかかります。
登記謄本
履歴事項全部証明書が求められることが多いです。
会社の登記情報として、屋号や本店所在地、代表者や株式の情報など基本的な情報が全て記載されています。
提出する謄本は、発行から3ヶ月以内のもののみ有効ですので、取り置きの場合は期間管理を適切に行ってください。
印鑑証明書
印鑑証明書は、申請方法は履歴全部事項証明書と原則同様ですが、法人の代表以外が取得する場合には印鑑カードが必要になります。
印鑑証明書も謄本同様、発行から3カ月以内が有効期限です。ご注意ください。
納税証明書
銀行は納税を行っていない会社には絶対に融資を行いません(初年度の企業を除く)。
未納の税金がある場合は、早急に税金納付ののち、納税証明書を取得してください。
納税証明書は市役所等での取得となります。
借入申込書
申込書は銀行ごとに異なり、融資の受付窓口などでもらうことができます、また、最近ではインターネット上でフォーマットを取得することもできます。
記載内容は多いですが、間違えると申込の際の行ったり来たりでかなり時間を取られしまうこともあるため、一度で申込完了できるよう間違いなく作成してください。
追加で求められる可能性がある書類
保証人が必要な場合
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 住民票
- 収入が確認出来る書類
本人確認ができる書類の他に、本人の収入が確認できる書類の提出が求められることがあります。
収入が確認できる書類としては、個人の確定申告、源泉徴収書、納税証明書などがあげられます。
担保が必要な場合
- 物件案内図
- 登記事項全部証明書
- 土地図面や建物図面
- 地積測量図
- 前年度の固定資産税を納付したことを証明する書類
- 固定資産税評価証明書
不動産担保をつけて融資を申し込む場合、非常に多くの書類が必要になる上、登記などで手数料もかかります。
しかし、担保なしに比べて大きい金額の融資が通る可能性が高まる他、借入条件が良くなることもありますので、状況を見て不動産担保の差し入れも検討してみてください。
その他追加で求められる可能性が有る書類
上記の他にも、銀行によって追加でいくつかの書類を求められる可能性があります。融資の申込前に、どのような書類が必要かを担当者や電話窓口などで確認することをオススメします。
- 会社案内
- 役員名簿
- 株主名簿
- 会社や商品のパンフレット
- 代表の本人確認書類
融資を受ける際のポイント
書類を作成する際の注意点
財務諸表と事業計画書
財務諸表や事業計画書を作る際には、必ず根拠となるデータを出せるようにしてください。希望的観測だけで作った資料やつじつまの合わない数字は、融資のお断りに繋がります。
また、借入金の使い道 (資金使途) もしっかりと説明できるようにしてください。
役所関係の書類
役所関係の書類は期限内のものを提出する必要があります。
必ず期限を確認し、もしくは直前で用意しておき、融資審査にすぐに提出できるようにしておいてください。
日頃から気をつける事
企業によって、資金繰り表や試算表を普段から作成しておらず、融資申込みの際に提出を求められ、あわてて作成するという例を散見します。
急ごしらえの資料は、つじつまが合わなかったり、数字が間違ったりと不信に繋がります。
面倒でも日ごろから作成するようにしてください。
資金繰り表や試算表は定期的に作成することで、自社の資金状況や経営状態の確認にも役立ちます。
さいごに
融資の申込には非常に多くの資料が必要です。
求められた資料を迅速に提出することで融資が通る可能性も高まりますので、いざという時に備え、普段から意識して準備するようにしてください。
また、融資を受ける場合には、融資を申し込みたい金融機関のホームぺージ等もしっかりと確認して臨んでください。
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